犯罪加害者など、安全を脅かす不適切な人物の特徴

親切な第三者を装って接近してくる強盗やレイプ犯などは、被害者に「NO」を言わせないために、以下のようなコミュニケーションのテクニックを使うことが多い。

◆仲間意識を押しつける(Forced Teaming)
初対面にもかかわらず、すぐに「私たち」「私たち2人とも」「お仲間」「さあどうしましょうか」などという言葉を使って、「あなたと私はすでに一種の仲間」的な前提で話を進めたがる。
私たちの社会では仲間意識による信頼関係をつくり上げることそれ自体が無条件によいことと見なされる傾向があるが、なぜここで仲間になる必要があるのかという裏の動機は(よくないものまで)さまざまあることに注意すべきである。

◆親切さ・愛想の良さ(Charm and Niceness)
親切さや愛想の良さというのは、能力(ability)であって人格(personality)ではない。すべての親切で愛想のいい人間が悪い動機をもって接近してくるわけではないが、悪い動機をもって接近してくる人間は例外なくまず親切さと愛想のよさで信頼を勝ち取ろうとする。

◆やたらと話が細かい(Too Many Details)
人は嘘をつく時、自分で言っていることが自分で確信できないため、やたらと細かいディテールを作り込むことによってリアリティをもたせようとする。

◆レッテル貼り(Typecasting)
「あなたは頭が固いね」「プライドが高いね」というように、ネガティブなレッテルを貼ることは多少無礼な感じがするので、レッテルを貼られた側は貼られたレッテルを否定しようとしてつい、「頭が固くない」「プライドが高くない」ことを証明しようとやっきになり、結果、相手が望んだとおりの行動をするというワナに落ちてしまう。

◆「借り」を作らせる(Loan Sharking)
近づいてきて何かを手助けすることによってこちらを「借りがある」ような気分にさせる。結果、相手の要求を断りづらくなったり、「放っといてくれ」と言いづらくなったりして、相手の望んだとおりに行動するというワナに落ちてしまう。

◆こちらが要求もしないのに「約束」を多用する(Unsolicited Promise)
「約束するよ」という言葉をやたらと多用する。「約束する」という言葉には、相手に何かを信じ込ませたい動機がある。が、「約束する」という言葉それ自体には、約束を破ったら何か具体的なつぐないをするという保証がどこにもあるわけではない。

◆「NO」という言葉を低く見積もる(Discounting the Word "NO")
普通のコミュニケーションにおいて、「NO」という拒否のサインを示されれば、相手側には「受け入れるか、受け入れないか」という選択肢しかない。そして悪意のないきちんとした人間であるなら、「NO」と言われれば受け入れざるをえない。もし「NO」というサインを受け入れない人間がいるとすれば、その人はこちらをコントロールする機会をうかがっているか、コントロールを手放したくないかのどちらかである。
「はっきり「NO」を言えるかどうか」は、鮫が餌食をさがすように、加害者にとっては被害者を選ぶ“面接テスト”である。この場合最悪の対応は、「やんわりとNOを言いながら、結局拒絶できないで受け入れてしまう」ことである。加害者はいつでも、「よりコントロールしやすい」被害者を物色している。「NO」は自信を持って、断固とした調子で言い、言葉と行動を一致させることが大切である。


出典: 『The Gift of Fear』 Gavin De Becker著 Bloomsbury

犯罪加害者、ということですが、ACのコミュニケーションスキルの脆さを利用しようとする侵入的・操作的な人物にも結構当てはまる特徴ではないかと思います。(蔦吉)