どうしても最後になってしまう。 最初では悪戯に時間が過ぎていくだけである。 こうして私はコマ目に少しづつ近付いて行くしかないのであろう。 弟の引き篭もりは私にとって非常にデリケートな問題である。 父親、母親、自分自身の問題なんかと比較しようもないほど、私にはデリケートな課題である。 自分らはまだ感情を言葉で表現できる選択肢がある。 でも弟には、自身の苦悩を表現しようにも言葉で表現できる深さがない。 否、どんな言葉を持ってしてもその苦悩の深さを捉えることは、引き篭もりから脱した、またはその道のサポートする人でもないと、表現し辛いであろう。 弟からこんな自分、こんな兄貴、こんな人間、こんな畜生を見たらどう思うか? 私は自らの問いに答えるのが怖い。 私は弟の悲しみの深さまで降りていく勇気、兄弟愛がない。 兄として、人間として、私も無意識では見栄や体裁が大事らしい。 なかなか無意識の壁は切り崩し難い。 その分厚い壁の向こうに「弟の感情」があると自分でわかっていても、自らの拳でぶち壊すのは出血を伴う心の痛みがある。 でもそんな自分の心を切り崩せるのは自分だけだ。 父親でも、母親でもない。 弟の気持ちをわかろうとする「逃げない」自分の心だけなのである。 だけど、そうは言っても、今日も私は本丸には近付けない。 一応8日がリミットだ。 それまでに自分のつまらない壁をブチ破れるのか? 期限まであと3日。 自分の心が試される3日間である。
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