「汝 右の頬を打たれたら左の頬を差し出し 左を打たれたら右を差し出し」
日曜日「やっと右足首の捻挫が治った」と思ったら、今度は左足首だ。 それも原因は同じ「調子込み」。 なんて私は学習しないんだろう? ほんとに私は馬鹿かもしれない。 いや、馬鹿すら既に通り越してしまっているかもしれない? その先にある侮辱的な言葉とは・・・ 「気違い」 やだやだ、それだけは認めたくない。 だけどそういう行いをしてしまう私。 馬鹿なのは確かだ。 そんな私ゆえ? 全然信仰心厚くない私でも冒頭の言葉を思い出してしまった。 (じぇんじぇん関係ないけどね・・・)
前日の霙(みぞれ)交じりの雨で、コースはウェット。 午前中はちんたら走っていて、お昼過ぎに10分1ヒートの模擬レース。 私の参加するクラスは国内A級以上の混走レースで、既にワンランク上の国際B級が3人もいる。 従って余程のことがない限り、私の「お立ち台」は遠い。 それに私は「人並み以上の目立ちたがり屋」、結果と速さは端から度外視で、ここのコースでもアクション極めて、この前のリベンジを果たさなければいけない。 何せこの前の1発目は自分の練習不足で成功率がかなり低かったから。 でも改めてメインのジャンプで、他の人が普通にアクションなしで飛んでいるのを見ると、「とてもアクションやれるほど(飛び出しの角度からして)高く飛べない!」ことに自分で気が付いた。 自分でやっておきながら「よくあんな高さでアクションできるよなぁ。っつうか、全然高さが足りねぇじゃん。あんなんでよくやってたねぇ」とまるで他人事のようだ。 しかし私の「チャレンジャー」な思考回路は止まらない。 「でもやっぱアクションしなくちゃなぁ。あれ以上の高さを稼ごうとしたら、よっぽど加速して一度リアサスを目いっぱい沈めて、ちょっとアクセル緩めてまた加速(国際クラスの高等技術)しないと、(アクションするのに)必要な高さは出ないよなぁ」 と技術もないのに無謀な国内クラスの私。 ましてコースは「加速し難い」ウェットだ。 案の定、私は加速が足りなくて「根性だけで?」飛び出し、空中で竿立ち状態だ。 でも体は既に「NAC NAC」の体制に入っていて、着地する瞬間「あっだめだこりゃ前転喰らうわ」 そして体が硬直したコンマ数秒後「ゴンッゴン」とフロントがショックを吸収しきれず完全に底付きして、あとは目出度く「前て〜ん!」 いや〜久しぶりに喰らいました「一本背負い」 一年振り以上だな。 モトクロスしていて何が怖いか?というと、大怪我する確率の高い「ジャンプ着地での前転」が一番怖い。 見てても恐ろしいが、実際喰らったらたまったもんじゃない。 私も4年間で15回以上は喰らい、「喰らう度に脳みそがとろける?」ような感覚だ。 だから馬鹿になって当然だし、ちょっと普通の人より?キレたところがないとアクションやれないのだ。 そんな私は、2回目のリバウンド後まともに進行方向に対して真っ直ぐに前転せずに、少し斜めに体が流されて(というか「真っ直ぐはヤバイ!」という経験上からの防御意識だけは働いて、無意識に体が動いていた?のかどうかは定かでないが) 結果的にバイクは左ステップが破損して飛んだだけで大したことなく、運良く体のほうも打撲と左足首捻挫で済んだ。 それでもチョー痛かったのだが、その日は「今度NAC NACやるから」と期待させてしまったモトクロ友達2名が観戦に来ていたので、自分の面子にかけても「いいとこ」魅せなければいけない。 「しまったー」と後悔している場合ではないのだ。 なんせ下手すりゃ自分が「大ボラ吹き」呼ばわりされる可能性だってあるのだから。 それだけはこの前「屁タレ」のAを自分で非難した以上、避けて通れない道だ。 とりあえず自分の左足首が「折れていない」のを確認して、私は再スタートした。 流石にお馬鹿な私でも次の周は様子を見て確実に飛んで、再度来ました大ジャンプ。 それもその向こうではチェッカーが用意されている。 「ふ〜これで最後か? やっぱ行くしかねぇわな」 と自分の馬鹿に拍車を掛け、今度も根性だけでアクセル開けて再度竿立ちNAC NAC。 「あちゃ〜またやっちゃったよ」と空中で嘆いている間もなく「ゴンッゴン」と着地したのだが、直前の前転で体が緊急体制を学習したのか、今度は前転を喰らわずに済んだ。 「ラッキー!」 でも勢いは止まらず、バイクはコース脇の水溜りへと向かっていく! 「うぉ〜やめてくれ〜だめだそっちは〜止まれ〜止まるんだ〜(水溜りを)見るな〜見ると(自然と)突っ込むから見るんじゃないぃ。杭だ。コース上の杭を見るんだ〜」 と、1,2秒の間に殆ど念力だか呪文のように自分に言い聞かせて、なんとか「水没」だけは免れた。 あれで「ズボッ」と嵌っていたら、エンジン全バラの10万コースだったろう。 危ない、危ない。 そして無事?チェッカー。 「ふ〜やっと終わったか。というより3,4回しか飛べなかったじゃねぇか。それも下手っぴの。でもまぁ1番目立っていたのは確かだろうな。普通前転喰らっといて再挑戦するような(イカレた)奴はまずいないっつうの。どう見たってベストなコンディションじゃねぇし、俺だって本当は飛びたくなかったけど、でも『公言していた』友達来てちゃ行くしかねぇわな。『なんだK(私)さん、口先だけじゃねぇか』なんて思われたら癪だもんなぁ。根性?あるところだけは魅せておかんとのぉ」 その後友達2人に「Kさん凄いわ。やっぱ普通じゃないよ。怪我は?」と有難いお褒めの言葉?を頂いて、「ん〜今のところは熱持っているから余り痛くないけど、あと数時間したら激痛に変わっているかな?」と、暫し談笑していた。 そしてのんびり後片付けをして、いざ「湯ったり館」へ。 ほんとはその後2時間くらいフリー走行できる時間があって、自分も走りたかったのだが、万が一、捻挫を酷くしたら私は「本当の大馬鹿者」になってしまうので、自制して止めといた。 そして段々と襲ってくる左足首の痛み。 左肩も痛いし、左太もも付け根にはハンドルだかステップだかが当たったような「拳大」の青タン。 「これじゃ痛いわけだな」と思いつつ温泉の薬草風呂に1時間近く入って、出てきたら「動物用抗炎症鎮痛剤」を患部に塗って、自助グループに。 私の車はマニュアルなので、クラッチを踏むたび左足首に「んぐぅ」と激痛が走る。 それじゃ「オートマにしたらどうだ?」となるのだが、私はオートマのかったるさが嫌いだ。 「性格が2ストで落ち着かない」私はいつもどこかがセコセコ動いていないと気分が乗らないし、「自分が加速したいときにきちんと加速が付いてくる」マニュアルじゃないと段々イライラしてくる。(でも公道では安全運転よ。今現在違反0) だから自分が今まで乗った車は全てマニュアルなのだ。 要は「怪我しないよう」バイクに乗ればいいだけの話であるが、それが難しい。 そして今週末も某コースで選手権第3戦が行われ、私も当然参戦する。 週間天気予報では、土日ともなんとか持ちそうだ。 今度のコースはきちんと練習して、フープス(11個の山の波状路)も2,2,2,2,2,1で飛べるようになったし、NAC NACも成功率8割以上になっている。 「そろそろこの辺で一著ドカンといいとこ魅せちゃおうかなぁ」 「とりあえず今年中に関東でトップ5のNAC NACの使い手に成らんとなぁ。東北はレベルが高いからなぁ」 相変わらず鼻息だけは荒い私であった。
つづく
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