不可解なあかいもの
大切に育てているシェフレラの葉が、 黄色くなってばらばらに枯れ散る夢をみた。
鉢替えしようと手に取ったら もうずっと前に 株は弱りきっていて 根と茎とがつながっていないことに気づいた。
それなのにみとめたくなくてどうにかしたくて、 てのひらの上の茎を、黄色くなった葉を、 足元に落ちた葉をみつめながら、 どうしたらいいかかんがえていたんだ。
しんじられないようなおもいのまま、 なかば呆然とした悲しみを感じながら 鉢のなかの根っこを覗き込んだら、 その中央には トマトのように真っ赤な、 心臓のかたちの核があった。
根っこらしきあかいものは、 誰にも知られずに、 静かに鼓動しているようだった。
わたしは、それをそのままにしていたいと思った。 わたしが手を触れられるものでも、 どうにかできるものでもない気がした。
動物か植物かもわからない、 得体のしれない、 けれど確かに生命であるもの。 そしてまた水を必要としているもの。
そんなものであると感じていた。
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