走れ妄想族〜7〜
何日も、何日も、私は彼のことを考え続けた。 あの日のように、また彼の腕の中にいられたらいいのに。 でも、彼にも、私にも、恋人がいるのだ。 忘れなくてはいけない。 あきらめる決意をしたのは、私が今の恋人を裏切りたくないと、はっきり気づいたから。 Rくんのことは好きだけど、彼を裏切ることはできない。 そう考えての決断だった。 理由を告げることもなく、また彼の前から姿を消す。 本当は、もっと話してからお別れしたい。 でもそれはできないし、会えばまた会いたくなるだろう。 キャンプファイヤーの火に、どんどん薪をくべることになってしまう。 そうすれば、炎はもっと燃え盛ってしまってしまうのと同じだ。 私は今、心の中で燃える炎を見つめている。 とても大切な、大切な火だけど、消えてしまうまでを見つめている。 名残惜しく、悲しい。 だけど私はそれを受け入れることで、成長できるだろう。 大人の痛みを知った気がした。
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