綺麗な海に行きたい。 白い砂の綺麗な海に。何時間だっているよ,気が済むまでね。僕の先祖は商人でも武士でもなく魚だったんだ。そろそろ海に帰る時間がきたんだよ。全部、漂白してくれよ。体も心も。海の底には何がある? 絶望? 希望? 静寂? 太陽よ,僕が沈んだこの海底まで光を届けておくれ。暗いんだ,暗すぎて何も見えやしないよ。一筋の光をくれよ。
深く暗い海。もし地球の中心に働く引力がなかったら海水が全部,空に飛んでっちまうぜ。そんなの勘弁さ。僕はずっと海底にいたいんだ,邪魔しないでくれよ。
海しかないんだよ,僕には。海しか友達がいないんだ。ここは気持ちのいい場所だよ。でも,だからって訪問はしないでおくれよ。ひっそりと静かに暮らしたいんだ。
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