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私たちの物語 - 鏡の中の「私」(フィクション等)・過去ログ No.16
メッセージ数:320件

<320> マフマルバフ改めモハメッド ■2005年03月02日 水曜日 01時26分11秒
「へクソカズラ日記」・・・(都市に住む野鳥たち・野良猫)

 昨日(2月28日)の22時頃夜食の準備に取り掛かった。下味付きの焼肉であった。ジュワーと炒めているうちに、通路で野良猫がひとしきり、うらめしそうに鳴きだした。
 もう一匹は最近みかけない。奴は今孤独なのかもしれない。空腹感で思わず鳴いたのだろう。焼肉の一切れあげようかと思案したが、奴は隣家のベランダに行った様だ。
 隣家のベランダからは野鳥がよく見えるところなのだ。柿ノ木にも飛び移れるところなのだ。それを考えると、ここで野良猫に居着かれるのは困る。

 しかし、人間に対する依存度は野鳥よりも野良猫の方がはるかに高いではないか。奴は夜中に餌を分けてくれる御家の前で哀れむように鳴く。
 翌日はベランダの籐椅子の上で昼過ぎまで死んだように眠っていた。寒いから、夜は眠れないのだろう。
 この先、ウグイスが卵を産んでも、猫が全部食べてしまう可能性は高い。仕方がない、こればかりは。どうしようも出来ない。
<319> ロヴィン ■2005年03月02日 水曜日 01時04分58秒
まるでおもちゃをお片付けできなくて泣いている子どもみたいだな,と僕は思った。体の厚みがなくなり肉体が単なる平面の張りぼてになってしまたような喪失感が僕を襲った。どこかで失われたもののために歌い、泣く。 涙が乾いた時,「あの場所」についていた。
<318> ロヴィン ■2005年03月01日 火曜日 11時24分42秒
ひとしきり泣いてしまうと,虚しさと,重苦しい無力感が胃を弛ませた。
僕は埋めた物を探さないといけない。
<317> ロヴィン ■2005年03月01日 火曜日 06時55分59秒
僕は駅前で弾き語る。客はだれもいない。この街には人というものがまったくいない。それでも僕は歌う。歌っているときだけ僕は僕を取り戻す。離人感は消え,リアルな僕が現われる。僕は歌いながら泣く。思いっきり...。誰もいない灰色の駅前広場で。僕は何に対して涙を流しているのかすらわからない。ただわかるのは,何かが失われたことだ。とてつもなく大きいものが。その何かを嘆いて泣くんだ。
<316> ロヴィン ■2005年02月27日 日曜日 00時52分52秒
預金通帳、手帳、大学ノート(日記を書くためのものだ),CDウォークマン、
毛糸のセーターと帽子。下着。それだけをリュックに詰めてギターケースを
抱えて僕は故郷を出た。ドアを閉めたとき本能的に,そこにはもう戻らない
ことを感じた。
<315> マフマルバフ改めモハメッド ■2005年02月26日 土曜日 02時18分20秒
「へクソカズラ日記」・・・(都市に住む野鳥たち・ウグイスとシジュウカラの生息地)

 昨日ばら撒いた穀類の様子を見ると、スズメが2羽きて採餌していた。口ばしで巧みに餌をつかみ、食べられないとわかるとぺっと頭を振ってすてている。スズメの餌に対する嗅覚のするどさと、厚かましい性格がよく分かる。
 私は野鳥に意地悪をするかのように、エサ箱の近くで消えた野鳥がいつ戻ってくるか、それを観察してみた。
 しばらくするとヒヨドリ一羽が様子を見にもどってきた。私に気づきカーブして電線にとまり、今度は私がヒヨドリに観察される側になってしまった。
 いじわるもいい加減にしておきたかった。しかし、スズメは樹木の繁みに隠れているだけだし、ウグイスは逃げずに藪の中に潜んでいる。動くのを待っていると、あちこちすばしこく飛び回り、やがて隣家の庭の方向に飛び去った。

 エサ箱の餌は一日で消費されている。私がこのように暫らく見ているだけで、警戒して近寄らなくなる。
 人に馴れている様子のシジュカラは姿が見えない。餌の争奪戦に敗れて来れないのかもしれない。

 私は原点に戻って考えてみた。春にはここで毎年ウグイスが鳴いているらしい。スズメも来なくなっている所に、たくさんの野鳥がいるのは、あの空き地が数十年間放置されてきたからだろう。そこに野鳥に関心のある人たちが餌を与え続けてきたから、ここまで飛来してウグイスが毎年営巣するのだろう。

 ごく少数のウグイスやシジュウカラが公園で採餌する姿は確認している。

空き地の消滅、公園の樹の伐採や利用人口の増大による荒廃化。
わずかの緑地帯や私有地の庭があっても、ウグイスやシジュウカラがこの地に毎年営巣するのは困難な環境となっている。

 ハクセキレイが公園に来ても休める樹木がない。ハクセキレイを追って観察すると公団内の公園の無人の常緑樹で休息していた。セキレイ類は浅瀬の小川だけでなく、休息できる樹木が必要なのだ。小川からは遠いし危険でもある。

 市側の管理する公園が野鳥の休息できるところではない。ことを証明している。

来年以降が問題だ。環境の激変でウグイスとシジュウカラが消えるかもしれない。

俺は誰と連帯し、どう行動すればよいのだろうか?連帯出きる者などいやしない。

やはり、公園だ。常緑樹の保全。高い樹木が数本は必要だ。
<314> きりん ■2005年02月25日 金曜日 12時02分17秒
何だか靄がかかったような。。。自分に気付いてあげられなかった。。。でも しっかり 辛くなったりしゃべれなくなったり 症状が出ているし、何か訴えてる証拠だし。。。今日は何にもしない!って 決めて 朝から お風呂でゆっくり作戦してみた。そしたら 解かってきたよ。
結局のところ お金だ!私は銀行の残高が少なくなる事に対して すごく不安を感じる。私はこんなに切実に考えているのに 夫は何にも考えていない!!!こんなに不安なのに 夫はセカンドビジネスとか。。。いったいいつになれば 楽になるんだよ。
で、緊張の糸が切れて 思いのまま涙涙。。。。
やっと気付いてやれた。何だか 毎日の生活に追われて 自分の感情に気付いてあげられなかった。もう 毎日毎日 時間が無い!余裕が無い!って 気付いてやれた事も 良かった。だから 楽になる方法 ちょっとしたパーソナルタイム設立しよう!でも まだまだだなぁ。今日だけは焦らない。お休み パーソナルタイムだ。
<313> マフマルバフ改めモハメッド ■2005年02月25日 金曜日 01時09分51秒
「へクソカズラ日記」・・・・(都市に住む野鳥たち・市の考えを聞いてみた)

 エサ箱はヒヨドリが少なくとも2羽が見張っている。エサ箱の下の常緑樹の繁みの中にはウグイスが潜んでいる。シジュウカラが餌の催促していたところに今はヒヨドリが潜んでいる。地が剥き出しになっているところを見ていたら、いきなりキジバトが飛び去っていった。生活道路の電線にとまってこちらを見ている。
 あれはジョナサンだろうか?そろそろ巣作りの場所選びをしている頃だろう。果たしてそのような枝のしっかりした樹木がたくさんあるだろうか?

 時間的に手をこまねいて心配してもしょうがない。市の窓口に問い合わせてみた。係りの人の対応は誠実であった。
 苦情相談係りのようで、私のような問い合わせはまったくない。ということだった。枝の伐採がキジバト等の野鳥の巣作りができないところまでやっている、やりすぎではないだろうか?という穏やかな質問をした。
 3〜5年周期で伐採しているそうだが、木の枝を切ってくれ。という苦情が多いらしい。防犯上の意味で。
 私が樹木(緑地)の保全を訴えたのは、もちろん野鳥の保護が目的である。しかし、野鳥という視点で話すと市の手に余る事が出てくるようだ。わずかに残された小川(?)の今後の保全に話が及ぶと、それは府の管轄であり、土木事務所の管理となる。問い合わせてみるとすでに私の問題にしているところは、すでに4回のワークショップを開いて市民の意見は聞いた、ということであった。
 そこに新しく創る公園の概観を聞くと、それは市の管轄であると言う。。。例のごとく、お役所のたらいまわしである。

 樹木と小川と野鳥を一緒に語れない問題。都市にさまざまな野鳥が身近に生息していることの重要性を伝える難しさ。

 野鳥の保護の視点で行政に訴えるのは市、府、○○、○○と、それぞれに意見を伝えなくてはならない。
 樹木の種類や野鳥の生態の記録なりが必要となるだろう。

 私はやりきれない気持ちになって、キジバトが採餌する地に餌をばらまいた。周囲の誰にも気づかれないように、こっそりと。

 晴れのち曇り、小雨。気温10、湿度58 2月24日木曜日 24時20分。
<312> まどろみ ■2005年02月24日 木曜日 20時11分13秒
何処に書いていいか分からないので、ここに書かせてください。

私はとっても傷ついています。

自分で自分を傷つけました。
友達にも手伝ってもらって傷つけました。
頼んでないのに傷つけてくれる人もいました。
包帯を巻こうとする友達は逆に傷つけてやりました。

私は母親のストレスの原因であり、はけ口でした。
私の存在価値は傷つくことでした。
だから喜んで傷つきました。
父親は傷つき方が足りないと言いました。
だからもっともっと傷つこうと努力しました。
母親は私が死ぬことを望みました。
でも自分では死ねませんでした。
存在していることがとっても申し訳なく思いました。

私が傷つくことを止めたら、私の存在価値はあるのですか?
私の存在価値って何ですか?
<311> およよ ■2005年02月24日 木曜日 19時19分27秒
物語になるのだろうな、この部類の話は。
誰も、人に暴力を振るわず
誰も、人を口汚くののしることなく
誰も、策を弄して人を陥れる事もなく
誰も、心の中でさえ人を憎むことなく
誰もが愛しあえる世界。
人を信じるしか出来ない、正直にしか生きられない、そんな当たり前の人間が馬鹿呼ばわりされる世界、そんな世界がおかしいのではないだろうか。
そんな話が、夢物語としてしか、語られない世界。これが現実だ。
これは、なんて悲しい現実なのだろうか。
そして、一人の力はなんて、小さいのだろうか。
でも、その世界が夢の世界であったとしても、やはり、私たち人間には、
そんな矛盾のない世界が必要だ。
人間の心がそれを叫んでいるのではないだろうか。
私は、誰がなんといっても、そんな世界がくるべきだと信じる。
<310> B.B. ■2005年02月24日 木曜日 18時10分19秒
冷たくて硬質のメタル達。規則正しく動いて、破綻しない。
そのリズムが私を安心させる。
ずっとこのまま、こんな時間が永遠に続くのだと感じた。
私はここに存在することが使命なのだと。
だけどここには変化がない。
ギアやシリンダーの迷路のなかを、今日もさ迷う。
同じ事の繰り返し。
彼らをみると、安堵する。とともに、柔らかいものにも触れたいと思う。
ここから出たいのか、出たくないのか。
分からないまま、今日もさ迷っている。
<309> ロヴィン ■2005年02月23日 水曜日 09時56分55秒
街を探すのは面倒なことではなかった。
その夢から覚めたときに,枕元に地図が置いてあったのだ。僕はそのことを不思議ともなんとも思わなかった。それは,朝起きて食事をとるとか,3ヶ月に一辺,床屋
に行くとかそういったことと同じぐらい当然に思えた。
<308> マフマルバフ改めモハメッド ■2005年02月23日 水曜日 02時00分04秒
「へクソカズラ日記」・・・・(都市に住む野鳥たち・そして空き地は消滅する)

 野鳥の餌を買いに夕方出かけた。
2月22日火曜日・昨日に続き晴天であった。気温は9湿度54。1〜2時にかけて空をみていたら、ハトやキジバトが気持ちよさそうに空を飛翔していた。ムクドリもバタバタと激しく羽を上下して飛んでいる。
 よく見るとわび住まいの周辺か、国道の上の広い空間を飛んでいるようである。高層のマンションやビルの周囲では風向きのかんけいもあって、安心して飛べないだろう・・。トビが低空飛行する姿を追ってみると、ビルの横にくると尾翼を安定できずヨロヨロと羽を動かして飛び去った。
 国道や電車道や川の上空の方が野鳥も飛びやすいのだろう。高いビルが増えることは野鳥にも住みにくくしているのかもしれない。
 公園の樹木の様子を見に行くと、低い枝はどんどん切られている。野鳥が営巣するには枝があまりに不足している。産卵期にはどうなるか心配である。
 空き地を見に行くと、相変わらずツグミがテリトリーを守っている。この時期になるとツガイで行動していることが目立つ。これまでのように空き地の真ん中で見張ることはしないで、道路側の鉄柵の危険なところにいてうろうろしている。
 工事用の杭と縄を張られてから、その近くでは採餌をしなくなっている。異常な様子を察知しているのかもしれない。近くの木の枝にとまってこの空き地の様子をじっと観察しているツグミの姿は、思慮深い哲学者のようである。
 忍び寄る身の危険と旅立ちの用意、この地にまたこれるかどうか判断しているのだろう。ツグミが毎年この地域に来ていたのも、この広い空き地があったからだろう。来月には工事は着工される。私はツグミがそれを見て、ここはもう二度とこれないことを確認して旅立って欲しいと思う。
 周辺の樹木も見て回ったが、赤い実のなる樹木はことごとく根元から切り倒されている。
 これまで注意を払っていなかったが、都市から野鳥を追い払うかのように、過酷な樹木の伐採は深く静かに進行している。もちろん行政の計画である。
 誰も文句を言う市民はいない。

 仕方がない、わずかな抵抗ではあるが俺は野鳥の餌さだけは不足のないようにしようではないか。
 
<307> マフマルバフ改めモハメッド ■2005年02月22日 火曜日 01時03分05秒
「へクソカズラ日記」・・・・(都市に住む野鳥たち・野鳥とのつきあいかた)

 昨日の16時に野鳥のすり餌をエサ箱に入れた。トウモロコシは残したまま、わずか一日でほぼ食べ尽くされている。野鳥はエサを待っていたのかもしれない。今日は天気もよかったし、たくさんの野鳥が来たのだろうか?私の推測にすぎないのだが、ヒヨドリはエサを3日分ぐらいに分けて食べることはしていたのではないだろうか?ヒヨドリはエサを見張っている様子である。小鳥が来てもたいした減り方はしない。これではジョナサンは来れないのだろう。
 17時にエサ箱を見るとヒヨドリが2羽優しい声で鳴いて飛び去った。私はそこに佇んで考えていたらヒヨドリはグルッと一回りしてすぐに戻ってきた。私をちらと見て消えてしまった。奴らはこのエサをあてにしているのだろう、採餌することをしないでいたから空腹で食べ尽くしたとしか思えない。
 ジョナサンは私に馴れるようなことはまずない。だから餌さをやってもやらなくても気遣いすることはない。
 ヒヨドリは俺の心理を見透かしたようなことをする。このまま餌をやると馴れてくるだろう。これではいかんのだ。しかし、ヒヨドリは愛嬌があって可愛いじゃないか。穀類とすり餌を半分ずつにして入れておこう。

 例のどぶ川は淡水を住処にする野鳥にとって都市にわずかに残されたが故に貴重な様子を観察できるわけだが、グレーのセグロセキレイなんて知られるだけで、人が見に来て野鳥の安全が脅かされるだけではないか。
 野鳥の安全・生命なんか考えたこともない輩がくると、野鳥が貴重な住処をなくすことになるだけだ。

 コウノトリやトキの例など絶滅しているのだ。戦前には数万羽いたというのに。
森と川と海の環境問題を考えるなら、いずれも、そこに住まうそれぞれの野鳥の生命、生きる権利も同時に視野に入れていかなければいかんと思います。

 人間だけの視点で環境を考えることに疑問を持つようになりました。

どうしたらいいのかわかりません。
<306> ロヴィン ■2005年02月20日 日曜日 13時04分53秒
夢はそこで途切れる。
でも,それは僕に啓示を与えていた。僕の中で何かが死んだ,あるいは失われた」のだと。僕は一体、竪穴の中に何を入れたのか?あの弱々しく,淡く光るモノは一体なんだったのか? 一つ言えるのはそれが僕を,この街に引き寄せた、ということだけだ。
<305> マフマルバフ改めモハメッド ■2005年02月20日 日曜日 02時27分44秒
「へクソカズラ日記」・・・・(都市に住む野鳥たち・老人と娘)

 昼過ぎから雨が降り出した。映画館から出たときはまだ小降りであった。このように天気がぐずつくと人間もとまどう。帰り着くとずぶ濡れになっていた。
 野鳥のエサ箱を見に行くとトウモロコシ類がわずかに残っていた。それ以外はすべてなくなっている。
 雨の中をヒヨドリのツガイもずぶ濡れになっていた。ずっとここで見張っているのだろうか?3日目にエサはなくなる、今日で4日目、雨がつづくのでエサを入れずにおいたのである。
 丸い篩い(ふるい)の上に小皿置いているのだが、樹の枝の段差でどうしても傾いて、雨が降るとエサも流れ落ちる。ヒヨドリはエサが入るのを待っているのだろうか?

 私はどぶ川の観察から少し足が遠のいている。早朝の7時過ぎに行ったとき、セグロセキレイは神経質になっており、さかんに警戒音を出して川の中に入ろうとしない。私の流儀で立ち去るべきだったのだが、約40m先の生活用の橋の下にツグミらしい野鳥がさかんに土塊の中に口ばしを入れている。双眼鏡では暗くてよく見えないのだ。ツグミがこんなに朝早くから必死に採餌する姿は珍しい、しかし、よく見ると頭部の真ん中に白紋があるように見えるではないか。

 激しく動き、向きを変える姿を観察するのは容易ではない。彼は遠くから私の存在に気づいており、わずかに動きを止めて正面からこちらを睨み付けている様子がわかる。彼に睨まれたとて野鳥ではないか。何を恐れる事があろうか。私としてはツグミかどうかを確認したいだけだ。。
 ところが動きが静止したかと思うと、土塊に足を踏ん張りつけ、やおら私をめがけて飛んできたのであった。「この野郎、俺の食事の邪魔をしやがって、早く行かねえとぶっ殺すぞ!!」とでも言わんばかりの勢いで・・。私は一瞬たじろいだ、肩上あたりを飛んで脅すのかと思えたからだ。双眼鏡を片手に下げて自在に動けるように身構えた。
 彼はものすごい勢いのまま、足元の小橋の下を抜けて私の後ろ10m先の枯れ木にピタリと止まって、ジッとこちらを見ているではないか。
 野鳥にこれほどはっきりとした行動をとられるのは初めてである。しばらくツグミを見て私はその場を後にした。歩くと足の筋肉が少し強張っていた。頭の白紋を確認するのをすっかり忘れていた。

 考えてみればあのような所で夜明け頃には採餌していたのだろう。この近辺では夜明け、日暮れ時になっても危険を省みず採餌しているツグミが多い。彼らはテリトリーを一羽で守ったりするので、エサの少ない場所を選択せざるを得ない場合も出てくるだろう。
 分かったよ。このどぶ川はあいつのものだ、今後観察などと言って邪魔をするのはやめよう。

 私はその日老人の家に再訪するかどうか迷っていた。老人は風邪のせいか体調を崩しており、3日後に来てポストの中の郵便物を持ち帰るとしても大変な作業だ。
 カギのかかったままのポストの中は封筒類がたまっており、出すのは道具もいるだろう。
 こんな世知辛い世間で下手なご親切は誤解を招く事が多い。死んだ娘は私の知る限り、とてつもない寂しさを抱えていただろう、SOSは誤解され捻じ伏せられ黙殺される。もはやいつ死ぬか?それだけの心配でしか世間は気にしない。

 老人は、すべて処理している、娘のことは知っている、もう関わりあいたくない。私の出番はないのだ。
 しかし、私はピンクの封筒を見た気がする。あれは、○○保険とは色調が違うものだ。隣の「ラーメンだけ」おじさんでも金融機関からハガキが来ているではないか。
 私は故人あての郵便物だけを選別して取り出し、スーパーの袋に入れて老人宅を再訪した。チャイムをいくら押しても出てこない。。。私はいらぬ親切はやめたいと思った。侘び住まいに戻ってどうしたものか考えた。
 これまで、いろいろな腐り果てた人間に出会ってきたが、あの老人は頑固で気難しい一面、紳士的な対応ができるところが在る。もののふ(侍かあ!)を知っている稀有なおっちゃんのようなところがある。背筋はピンと伸ばして歩く。笑はない。
 3年以上も放置しているのだから、別段必要なものはないだろう。だったら、もう一度訪ねてみよう。
 買い物から帰ったところに出くわした。取り敢えず郵便物は渡して、伝えるべきことは伝えた。後は向こうの判断である。「分かった」これだけの言葉を聞いて私は去った。
 気持ちは通じたようだ。。私は何か自信のようなものが持てたようで嬉しかった。私が社会に出て、私の考えで行動し、それが気持ちよく受け入れられた事があっただろうか?子供の頃も含めて、家庭内でもこのような体験がなかったのである。。。。一つの腑に落ちない事が私の強引とも思える行動で完結したのである。
このような体験を積み重ねて人間は成長していくものであろうと思う。
 絶えず否定される側に甘んじていた私の不信感と自信のなさを、少しは私自信が覆した喜びは、今なお大きい。
 やってみるものだ。
<304> ロヴィン ■2005年02月19日 土曜日 18時19分44秒
「それ」は確かに光を発している。薄黄色と青緑の光を。
でもそれが何なのか認識することができない。ちょうどモザイクをかけたように,その物体の周りだけが,ぼやけている。僕はそれを,穴の中に入れた。
<303> ロヴィン ■2005年02月19日 土曜日 08時05分28秒
僕は縄梯子を伝って地上に戻った。1平方メートルの巨大な竪穴。
あらかじめ,決められていたみたいに僕はポケットから「何か」を取り出す ―とプログラムされていた。僕の意志ではなく,それが僕の右手を動かしたのだ。右手は,何か硬くて小さいものに触れる。ビスとかワッシャーとかいった小さな部品のようなものだ。でも形が特定できない。ごそごそとポケットを探るうちにポケットから淡く,柔らかな光がこぼれ出した。直線的な光ではなくシェードランプからこぼれるような,立体的な光だ。光は先端にいくにつれて薄い黄色から微妙に青味を帯びた緑へとグラデーションを連ねている。
<302> ロヴィン ■2005年02月18日 金曜日 18時27分27秒
『都市』(つづき)

網膜に薄いグレーのオブラートが張られたみたいに,見るモノ全てがぼんやりと霞んでいる。僕がこの街にやってきたのは,ある御墓に行くためだった。そこに― 何があるのか知らない,一体何が祀られているのだろう?

4ヶ月前の,ある夜に僕は夢を見た。穴を掘っている夢だ。そこは僕がまったく知らない街の,オフィス街の外れの閑静な住宅街にある小さな墓地だった。3平方mほどの更地を,作業用のシャベルで,懸命に掘っていた。真夜中....2時か3時くらいだろうか。しかもかなり寒い。そんな場所で僕はワークパンツにTシャツ一枚という格好で,わき目も振らず穴を掘っていた。シャベルが深く突き刺さるように入射角度に注意しながら,腰の回転を使って,おもむろにシャベルを突き刺す。土はそれほど固くないが,砂利が混じっているせいか,なかなか穴が大きくならない。突き刺す時に,息を吸い,土をすくいあげるとき,息を吐く。背中のあたりに大量の汗を感じる。かなりの労力を要するから寒さは気にならない。僕は明け方の五時くらいまで一度も休憩することなく掘りつづけた。目の前には,深さ3メートルほどの竪穴ができていた。
<301> こくーん ■2005年02月17日 木曜日 23時24分57秒
今の私は、過去の私から渡されたバトンのようなもの。
山を谷を崖を照りつける日差しの中を嵐の中を、泣きながら越えてきた私の、バトンのようなもの。
だから、そのバトンが、
重いからと言って、
汚いからと言って、
他の人みたいにピカピカする飾りがついていないからと言って、
お金がかかっていないからと言って、
受け取るのを拒否してはいけない。
このバトンは私だけのもの。
しっかり握って、前へ進もう。次の私が待っているはずだから。

Copyright (C) 1998 CGI Arkadia All rights reserved.
This script written by Shintaro Wakayama.