もしもこの家から働くのであれば、私はきちんと家族と境界線を作って、自分の居場所をここではない、別の場所に持たないといけない。そして、会社つとめはほんとはしたくない。逃げたくなるの。定刻どおりの電車の中から。学校や家に帰らないといけない子供時代、逃げられなくて、それでも子供だから「あなたのお子さん、泣きながらあそこで歩いていたわよ。一人でいたわよ」なんていわれないために、一人で隣町に行って、泣きたかったけど、それでもできずにトイレで声を殺して、家族が帰る時間を確かめながら、「元通り」の顔にいつでも戻れるように、涙だけ流して泣いていたあの頃を思い出した。私は子供だから、逃げられないな。この家族の中で「良い顔」だけ見せてしか生きられないな。ここしかなくて、学校ではまた私にレッテル貼って仲良いけど、気まぐれにからかいをエスカレートさせて皆を巻き込んで私をさらし者、笑い者、汚い者として「ストレス発散」してくるような子供たちしかいなくて、いじめられっこというレッテル貼られないために周囲に気を使わないといけない自分がいて、私にはここしかなくて。日記に自分の思いを爆発させるしかなくて、誰も私が本当に困った時には誰も誰も一人として私が相談できそうな人はいなくて、それでも周囲は見ている「目」だらけで。私今日スーツで近所を会社行かず昼間ぶらぶら歩きながら、あの時はこうやってぼーっと歩くこともできなかったって思った。ずっとずっと「恵まれている」けど、逃げたかった、寂しかったって思った。
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