噛み付いたほうは誰にでも噛み付くような人だから「噛み付いた」認識はない、または少ないであろう。 でも噛み付かれたほうはその「傷跡」がしっかり残る。決して忘れない。 「傷付きたくない、傷付けたくない」と思っていても、現実には避けて通り辛い。 自分が「噛み付いた」と認めたら、自分が「噛み付かれた」時の感情を思い出し、 自分が「噛み付かれた」と思ったら、自分が「噛み付いた」時の感情を思い返し、 そうして自分の心のバランスを取りながら螺旋階段を上っていくのかもしれない。 私をはじめ、誰一人として平均的な「聖人君子」はいないのだ。 「相手の嫌な部分=自分の嫌な部分?を許せない自分」を、自分は許せないのではないだろうか? 奥底には矛盾を孕む可能性のある人間の心で、どだい完璧な白、黒なんてありえるのだろうか? 今の私にはわからない。 だけど今、私の心はその灰色の中にいるような気がする。 白に近い灰色、黒に近い灰色。 それはどちらにあっても私の心だ。 それだけははっきりしている。
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