おとうさんへ


悪いお父さんで本当に悪かった、ってあやまってくれてありがとう。
大人になった時、私のしたいことを理解してくれてありがとう。心から感謝しています。私の先生に、娘がお世話になってますとキチンと頭を下げて挨拶をしてくれた時、本当にうれしかったよ。ありがとう。

子供の頃はいつも家にいなくて、家にいればお母さんと喧嘩していましたね。自分の趣味にしか興味がない様子で、きちんと会話をした記憶があまりありません。おもちゃを買いに連れってくれたとき、家にお金が無いのが何と無くわかっていて、素直に甘えられませんでした。しかし、欲しいものを言えといわれるのでいうと高いと言われてどうしていいかわからなかった。
家にいてもお母さんと喧嘩ばかりなのになぜ、家に帰ってくるのかわかりませんでした。お父さんなんていない方が家は平和だと思いました。

お酒を飲んでたくさん吐いている姿や、家中の食器を玄関に投げて割り続けたこと。その破片で飼っていた犬が足から血を流していました。素手でガラスを割ったことも、自殺したいと言い続けていたこと。見ていて本当に苦しかったよ。

本当は、もっと頼りたかった。もっと甘えたかったし、もっと私の事を気にかけてほしかった。けれど、お父さんも苦しいことがわかっていたから言えなかった。
親として当然のようなことが、私にとってはすごくありがたく感じれ、お金のない中でお金を工面して、私に運転免許を取りに行かせてくれたことは本当に感謝しています。ありがとう。


お父さんも心に余裕がなかったことを理解しています。しかし、私は両親に遠慮ばかりしていました。もっと素直に甘えたかった。きっと、こうなったのもあの人のせいですね。あの人のおかげで家はメチャクチャになりました。お父さんはずっとそれをいいつづけてきたけれど、皆、その時は理解してあげれなかった。私もそうです。ごめんなさい。お父さんの言っていた事はやっぱり正しかった。正しい事を言っていたのに、家族に受け入れられなくて一番さみしい思いをしていたんですね。でも、私の同級生をナンパしていた時はショックでした。

いま、好きな人がいます。
目が少し大きくて、髪にコシがあって、几帳面で、ちょっとした事ですぐ気が滅入ったりするくせに強情で、プライドが高くて、目立ちたがりやで、お酒に少し依存している傾向がある人です。そう、お父さんにそっくり。子供の頃から、お父さんのような人とは絶対結婚しないと決めていたのに、私はいま、この人が好きで、好きでたまらない。でも、この人は既婚者なんです。結ばれる事はできません。既婚者を好きになる人は父親の愛情に飢えた人が多いそうです。私がこれまでうんと年の離れた人ばかりを好きになるのはきっと、父性を求めているからなのですね。
今でも私はお父さんに遠慮しています。遠慮というか、わがままを言っても叶えてもらえないという諦めに近いです。だから、両親の前では本音を言わず、ずっといい子だったかもしれないけど、本当はお父さんの代わりになる男性をずっと探しているのかもしれません。一番愛して欲しい時期に、一番愛していてほしいひとにきちんと愛情を与えてもらえず、子供の気持ちよりも自分の気持ちが常に大事な両親に生まれた私は、自分の命を絶ってしまいたいと何度も思いました。あなたたちのひと時の性欲でこの命を授かったとするならば、こんな命なんていらないと何度も思いました。産んでくれと頼んだ覚えはないのです。しかし、私という魂が両親を選んで産まれてきたのだとすれば、これは私が乗り越えないといけない試練なのですね。
大人になってから一緒にお酒を飲めるようになって、色々な話をしたりするのがとても嬉しいです。大きな波を乗り越えて、つつましくも穏やかな生活を私の母親ではない、パートナーの方と過ごしていることは、安心でき、おばさんにも感謝しています。でも、お父さんは今でもお母さんの事を気にしていますね。昔からずっとそうでした。お母さんは元気かといつも聞かれていましたね。お母さんとの馴れ初めとか、聞きたくないけど、お酒を飲んだら言いますね。やっぱり私は両親のカウンセラーなのでしょうか。

小学校の修学旅行から帰ってきたとき、私の今は駅から近いし、誰も迎えにきてくれないと思っていたのに、お父さんが迎えにきてくれたね。本当にうれしかったよ。死にそうになっている子猫を私が拾ってきたとき、動物病院に連れていってくれたね。高い治療費を出してくれてありがとう。猫はあれから12年生きました。

お父さんが大好き。その気持ちをどこに置いてきてしまったんだろう。過去にお父さんが大好きだと自覚したことはないように思いますが、私は子供ながらに両親を愛していたんですね。だから、どんなに辛い事も辛抱ができたんだと思います。両親が子供に依存していたように、私にも子供ができたら子供に依存してしまうのでしょうか。



Kei
2013年03月02日(土) 20時52分35秒



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